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杉のオガクズとの出会い
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自然環境と持続可能な社会を創るための活動をしている、加藤木材の加藤さんからある日、相談をうけました。「日本は2/3が森なのに、輸入木材に頼っている。戦後の政策の結果、日本の森は1/4が杉の木になってしまい、伐採時期にもかかわらず放置されていて、花粉で嫌われものになってしまった杉だけど、本来は素晴らしい木であることを、なんとかみんなに知ってもらいたい。」

加藤さんは“適材適所の会”を主催されていて、当時の私たちのスタジオの床を低温乾燥の杉の木にしてくれた方です。その木を製材した時にでたオガクズを「これでお風呂にはいるとでカラダの芯まであったまるよ」とパンティーストッキングにいれて、くれました。

パンスト?

と思いながらも一緒にお風呂にはいると、そのあまくてやさしい香りで幸せな気分でいっぱい、そのパンストに何度も顔をうずめていました。加藤さんのいった通り、カラダだけではなく、心もあたたまりました。



新しい杉
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今は北海道でワインのぶどう畑をやっている、インテリア・デザイナーの若井和典さんが、低温乾燥の杉のテーブルや寝椅子などを4人のデザイナーと、新宿御苑で開催されている、ロハスデザイン大賞のためにデザインしました。その展示のイメージを作って欲しいということで、加藤さんのくれたお風呂の体験をもとに、杉の丸太を抱いてお風呂にはいっているモデルの写真を撮ってポスターなど作りました。

当時は杉はもとより森に興味がある人が少なかったので、もっとポップにする必要があると考え、パンストを、ウサギの形に変え、背中にチャックをつけて、中にその杉のオガクズを入れました。“風呂うさぎ「ピー朗」”の誕生です。100匹、カオルン(谷内かおる)に作ってもらいました。ムーンアニマルのデザイナーです。お風呂に一緒に何度か入ったあとは、チャックから杉のオガクズを詰め替えられるようにデザインしました。若井さんが用意してくれた素敵なバスタブの中にディスプレイされ「ピー朗」たちは、展示の呼び込みの役割を勇敢に全うしました。2010年の春です。